EZMD 豪華版 大竹伸朗 用美社 1987 アート・デザイン・音楽

大竹伸朗がマルセルデュシャンをテーマに本を作ったらこうなったという2冊組の作品集。 タイトルの「EZMD」とはイージー マルセルデシュシャンの略語。 以下、大竹伸朗が記したテキストを付属のペーパーに記された文章を転載。 「世の中にデュシャンについて書かれたり、つくられたりした本が一体どれくらいあるのか正確な数は知らないが、その内容については大方、作品集、自伝、作品分析、そしてデュシャン自身のメモを集めたものなどに分けられると思う。無謀にも僕自身がデュシャンをテーマにした本を(全く個人的に)つくろうと思ったのは、今考えると1983年の夏、ロンドンの古本屋で手にした60年代に出版されたドイツ語のポルノグラフィーに行きつく。安い紙に総天然色で刷られたその本には、無表情な若い白人が機械的にからみ合っていた。その時僕はその本をパラパラとみただけで棚に戻してしまったのだが、そのパラパラが頭を離れず、「あんなイメージのデュシャンの本がつくれたらいいなあ」というところに結びついてしまった。 一冊のポルノグラフィーからデュシャンを想う不謹慎さに激怒する世のデュシャンピアンも大勢いると思うが、いま考えてもその本の持っていた空気がデュシャンに結びついた事に異論はない。 結局二冊組にして、一冊はコラージュという方法で僕が、もう一冊は線画のイメージをシンガポール人の図鑑画家、タイ・テオ・チュアン氏に担当してもらった。 ※２０年ぐらい経ち、タイ・テオ・チュアン氏は架空の人物であったと公表された。 基本的にそれぞれ非常に個人的経験に基づいたデュシャンのイメージをカタログに近い形にするという方法にしたつもりである。デュシャンをメインの材料として色々勝手なスパイスを加えていったら結果的にこんな味の料理になってしまったというのに近い気がする。 うまいかまずいかは食べた人に聞くしかない。」 本書はこの二冊の作品集 220×152mm 各冊102p 19によるE.Z.M.Dオリジナルカセットテープと小冊子を加え、特装の函に収めた少部数発行された豪華版。 ※箱に経年のシミ、スレ、一部破損が見られます。画像をご確認ください。 作品集に一部に経年のシミかみられます。 カセットテープ未使用。中のスリップケース、帯、小冊子や出版案内、ポスターなどの付属物が全て揃った貴重な完品。 用美社より1987年発行の初版。